
ロレックスの腕時計を長く愛用するためには、定期的なオーバーホールが欠かせません。しかし、費用や手順に関して不明点がある方も多いのではないでしょうか?
この記事では、オーバーホールの基本情報から費用の目安、依頼手順、注意すべきポイントまで詳しく解説します。モデルや使用環境に応じた頻度や、オーバーホールのメリットも紹介するので、ロレックスを最適な状態で使い続けるための参考にしてください。
オーバーホールとは
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機械式時計のオーバーホールとは、内部ムーブメントを完全に分解し、部品単位で洗浄・点検・潤滑・交換を行ったうえで再度組み立てる総合的なメンテナンス作業を指します。長年使用するうちに歯車やピン、ゼンマイ間に微細なホコリや金属粉が混入し、潤滑油が劣化・乾燥してしまうため、精度低下や故障の原因となります。
オーバーホールを実施すると、精度や耐久性、防水性能を回復させることが可能です。また、定期的に行えば大きなトラブルを未然に防ぎ、長期的に使用できます。
オーバーホールの流れ
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オーバーホールの工程は大きく分けて、以下6つの流れで行います。
- 受付・事前見積もり
- 分解
- 洗浄・点検
- 潤滑・組み立て
- 調整・検査
- 仕上げ・納品
まず受付段階では、時計のモデル情報や症状をヒアリングし、概算見積もりを提示します。次に、熟練技師がケースからムーブメントを取り出して完全分解し、超音波洗浄機を用いて各部品を細部まで洗浄。洗浄後は部品の摩耗や破損を厳密にチェックし、必要に応じて交換部品を手配します。
その後、適切なオイルを部位ごとに注油しながら再組み立てを行い、タイムグラファーで精度測定を実施。防水試験やパワーリザーブ検査をクリアしたのち、外装仕上げにてケースやブレスレットを丁寧に研磨し、お客様の手に返却されます。
ロレックスのオーバーホール費用
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ここからは、ロレックスのオーバーホール費用について詳しくみていきましょう。
モデル別・機能別の価格帯目安
一般的な3針モデルのオーバーホール費用は約100,000〜120,000円ですが、クロノグラフ機能を備えたデイトナなどは一台当たり130,000〜160,000円前後となります。さらに、ムーンフェイズやパーペチュアルカレンダーを搭載する複雑機構モデルでは、160,000〜200,000円以上の見積もりが出される場合が多いです。
これらには分解洗浄や潤滑油補給、精度調整、防水性能試験などの基本作業が含まれます。ただし、外装研磨やブレスレットの洗浄、コマ調整などは別料金になるため、総額を把握する際は見積もり内容を詳細に確認することが重要です。
追加修理が別途かかるケースもある
オーバーホール費用には基本的なメンテナンスが含まれますが、ムーブメント内部の部品破損やリューズ、巻き芯、ガラス交換が必要な場合には別途部品代と工賃が発生します。
また、ケースやブレスレットの深いキズを消すための外装研磨、あるいはバックルのバネ棒交換やコマ詰め・コマ足しといった付帯作業も含まれないケースが多いため、これら追加作業が必要かどうかを事前に確認しておくと安心です。
さらに、正規サービスでは純正部品を必ず使用しますが、一般修理業者では社外品が使われる場合もあります。そのため、品質や保証範囲についても合わせてチェックしておくとよいでしょう。
オーバーホールの見積もり時に注意すること
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見積もりを依頼する際には、基本料金に具体的にどの作業が含まれるかを明確に確認し、分解洗浄だけなのか、外装研磨や防水試験もセットなのかを理解しておきましょう。また、見積もり後に追加作業が発生した場合の承認フローや追加費用の上限についても予め取り決めることで、作業開始後に想定外の請求を避けることができます。
さらに、納期に関してもサービスセンターの繁忙状況や部品調達スケジュールを踏まえた現実的な納品日を確認するのがおすすめです。急ぎの場合は代替時計の貸し出しサービスがあるかどうかも合わせて相談すると安心です。
ロレックスのオーバーホールの頻度
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ロレックスのオーバーホールは、定期的に行うのがおすすめです。次に、具体的な頻度について紹介します。
メーカーが推奨するメンテナンス期間の目安
ロレックスの公式ガイドラインでは、通常使用の条件下で 5〜10年 を目安にオーバーホールを実施することが推奨されています。特にダイビングモデルやスポーツモデルなど、衝撃や水圧にさらされる機会が多い時計は、メーカー保証を確保するためにも5年周期が望ましいでしょう。
シール類やOリングは経年劣化が進むと防水性能低下の原因となるため、オーバーホールと同時にシール交換を行うことで、時計の内部を確実に保護できます。
使用環境が頻度に与える影響は?
時計は装着者の日常生活環境によって劣化速度が変動します。例えば、汗をかきやすい夏場や、海水に触れるアウトドア活動、プールやダイビングなどで使用頻度が高い場合、シールやケースの腐食リスクが高まりやすい傾向にあります。そのため、5年どころか場合によってはそれ以上の頻度でメンテナンスが必要です。
一方、オフィスワーク中心で極端な温湿度変化が少ない環境下では、7〜10年程度の長めのスパンでも内部オイルの劣化や金属粉の発生を抑えられることがあります。
ムーブメントの構造と経年劣化のメカニズムは?
機械式ムーブメントは複雑な歯車列とゼンマイ、脱進機などで構成され、微量の潤滑油によって摩耗を防いでいます。しかし、時間経過とともにオイルは蒸発や硬化を起こし、摩擦抵抗が増大。その結果、日差悪化やパワーリザーブ低下を招きます。また、金属同士の摩擦で微細な金属粉が発生し、歯車やピンの摩耗をさらに進行させます。
パッキンやOリングもゴム素材のために硬化・ひび割れし、防水性能が損なわれるほか、脱磁や磁気帯びによっても精度不良が生じるため、定期的なオーバーホールがムーブメントの寿命を延ばす要因となります。
ロレックスのオーバーホールが必要な4つの症状
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オーバーホールを検討すべき代表的な症状には、以下4つが挙げられます。
- 時間が合わなくなる
- 巻き上げに違和感が現れる
- 防水性能が低下する
- 異音や液漏れなど内部トラブルが起きる
それぞれの症状を順にみていきましょう。
時間が合わなくなる
ロレックスは日差±2秒以内の高精度を誇りますが、使用状況や経年劣化により歯車軸やピボット部分の潤滑油が硬化すると、摩擦抵抗が増大してタイムグラファーで計測した日差が著しく悪化します。
平置き・縦置き差が大きくなる、あるいは全体として数十秒以上のズレが発生した場合は、オーバーホールによる潤滑油補給と精度調整が必要なサインです。
巻き上げに違和感が現れる
リューズを回したときに引っかかりや重さの増加、あるいは空回り感を覚える場合、ムーブ内部に金属粉や乾燥したオイルが付着している可能性があります。正常な巻き上げトルクが得られず、ゼンマイの巻き上げ効率が低下すると動力供給が不安定になるでしょう。
精度への影響だけでなく最悪の場合は動かなくなるリスクもあるため、早急なオーバーホールを検討するのがおすすめです。
防水性能が低下する
防水時計はリューズやプッシュボタン、ケースバックのパッキンによって外部からの侵入を防いでいますが、繰り返しのねじ込みや温度変化、経年劣化によってOリングが硬化・ひび割れると、防水性能が損なわれます。
シャワー使用時にガラス内側に曇りが発生したり、水中での気泡付着が見られる場合は、シール交換とともにオーバーホールによる点検が必要です。
異音や液漏れなど内部トラブルが現れる
コトコトといった異音がムーブメント稼働中に聞こえたり、文字盤や針に油分が付着している場合、内部の潤滑油が過剰に流出しているか、油漏れによって部品に固着が起きている可能性があります。
これらの症状は部品摩耗や腐食を急速に進行させるため、放置すると深刻な内部損傷や大規模修理につながり、結果的に修理費用・時間が大幅に増加します。
ロレックスをオーバーホールするメリット
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ロレックスをオーバーホールする際、いくつかのメリットがあります。各メリットを具体的に紹介します。
安心して使える状態を維持できる
オーバーホールではムーブメントを完全分解し、経年劣化した潤滑油をすべて交換、部品ごとに適切なオイルを注油しながら再組み立てを行います。
精度測定や防水テストをクリアすることで、新品同様のタイムキーピングと防水性能が復活。日常使用からスポーツシーンに至るまで安心して時計を着用し続けられます。定期的なメンテナンスは、内部トラブルを未然に防ぎ、信頼性を長期間にわたり維持する要となります。
資産価値を守る
ロレックスは中古市場での流通価値が高く、オーバーホール履歴があることは大きなプラス評価につながります。
正規サービスセンターでのメンテナンス記録が保証書と紐づけられていれば、購入者は「純正部品使用」「精度保証付き」として安心感を得られるため、売却時に高い価格で取引されやすくなるでしょう。
定期的なオーバーホールは、時計の状態を良好に保つだけでなく、将来の資産価値を長期的に維持する重要な投資と言えます。
故障リスクを低減する
内部の潤滑油が劣化したまま使用を続けると、歯車間の摩擦が増大し、微細な金属粉が発生して部品摩耗が加速します。オーバーホールでは摩耗部品を交換し、摩擦抵抗を抑制することで、ゼンマイ切れや脱進機の破損など重大トラブルを未然に防ぐことが可能です。
結果として、大規模な修理や部品調達の遅延リスクを大幅に軽減し、愛用の時計を安定的に稼働させることにもつながります。
美観を長持ちさせる
外装の研磨・ブラシ仕上げをオーバーホールとセットで依頼すると、ケースやブレスレットに付いた日常の小キズが目立たなくなり、新品のような輝きがよみがえります。
金属表面の光沢が復活することで時計全体の印象が格段に向上し、使用による経年変化を抑える効果もあります。見た目の美しさを保つことで、所有する喜びをさらに高め、日常的な使用をより一層楽しむことが可能です。
ロレックスのオーバーホールを依頼する手順
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ロレックスのオーバーホールを依頼する際は、以下の手順で行うのがおすすめです。
- 事前相談と見積もり取得を行う
- 商品を配送する
- 必要書類を準備する
- 完了後の受け取り・支払い手続きを行う
事前相談と見積もり取得を行う
ロレックスのオーバーホールは正式な依頼前に、電話や公式Webフォームから時計のモデル名、シリアル番号、気になる症状を伝えて、概算のオーバーホール費用と納期の目安を取得します。この段階で、作業内容や保証範囲、追加修理の発生条件を詳細に確認し、勘違いによるトラブルを防ぎます。
商品を配送する
見積もり了承後、宅配キットが提供される場合は指定のキットを使い、ない場合は自己梱包で時計を発送します。輸送中のリスク軽減のため、緩衝材や防水袋で時計を厳重に包み、追跡番号付きの配送方法を選択することが推奨されます。
必要書類を準備する
オーバーホール依頼時には、購入時の保証書や販売証明書、身分証明書(運転免許証やパスポート)が必要です。紛失している場合は、店頭での依頼日に本人確認が厳格に行われるため、あらかじめ代替書類の有無を問い合わせておくとスムーズです。
完了後の受け取り・支払い手続きを行う
作業完了の連絡を受けたら、修理報告書や交換部品明細、保証書を必ず確認し、請求金額に相違がないことを確認したうえで支払いを行います。店頭受け取りを選んだ場合は、身分証明書を持参し、対面での受け取りと確認を済ませることができます。
ロレックスのオーバーホールで確認するポイント
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オーバーホール依頼時には、見積もり内容の詳細を把握することが重要です。続いては、ロレックスのオーバーホールで確認するポイントを紹介します。
確認ポイント①純正部品の使用有無と保証範囲
オーバーホールに際しては、純正部品を使用しているか否かで保証内容や部品寿命が大きく変わります。正規サービスセンターでは100%純正部品の使用を保証し、作業後には防水保証や精度保証が付帯します。
しかし一般修理業者では社外部品が使われる場合もあるため、事前に保証書の記載事項や対象範囲を必ず確認しましょう。
確認ポイント②分解洗浄だけで済むケースと要交換ケース
時計を分解した段階で部品の摩耗や破損が見つかった場合には、交換が必要になります。また、交換部品が必要かどうかは見積もり段階では判断が難しいこともあるでしょう。
分解後に判明した追加交換部品の種類と費用見込みをあらかじめ把握し、上限金額や承認方法を取り決めておくことで、不要なトラブルを避けられます。
確認ポイント③見積もり後の追加作業発生リスク
見積もりでは基本工程のみが記載されている場合が多く、実際に分解してみると追加部品交換が必要となり、結果的に見積額を大きく超えることがあります。
追加作業が発生した際には、必ず事前承認を義務付けるフローや、上限金額を設定してもらうことで、予算オーバーを防止できます。
確認ポイント④納期遅延を防ぐ依頼時の確認事項
正規サービスセンターでは繁忙期や部品調達状況により納期が延びるケースがあるため、依頼時に想定されるスケジュールを細かく確認しておくことが重要です。
急ぎの場合は代替時計の貸し出しオプションが利用できるかどうか、あるいは優先作業対応が可能かの有無を相談し、納期遅延時の対応策を明確にしておきましょう。
ロレックスのオーバーホールの依頼先
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ロレックスのオーバーホール依頼先としては、大きく分けて正規販売店または正規サービスセンターと、一般の修理業者の二択があります。それぞれの特徴をみていきましょう。
正規販売店または正規のサービスセンターに依頼する
正規サービスセンターでは純正部品を使用し、オーバーホール後にはロレックス公式の防水保証や精度保証が付帯します。
熟練の認定技師が作業を担当するため品質が安定しており、購入履歴や保証書と紐づけられたメンテナンス記録が残るため、中古売却時にも高い評価を受けやすいメリットがあります。
一般の修理業者
一般修理業者は正規に比べてオーバーホール費用が安価で、納期も比較的短い場合が多いです。対応モデルや機能の幅に限りがあるものの、コストパフォーマンスを重視する利用者にとって魅力的でしょう。
ただし、社外部品が使用されるケースや技師の技量差が仕上がりに影響する可能性があるため、口コミや実績、保証内容を十分に調査してから依頼することが大切です。
まとめ
機械式時計の王道ブランドであるロレックスを長く愛用するためには、モデルや使用環境に応じた 5〜10年周期 のオーバーホールが不可欠です。費用はモデルの複雑度により 100,000〜200,000円 程度が目安で、追加修理や外装研磨は別途かかることを念頭に置くことがポイント。定期的なオーバーホールで精度と防水性能を回復し、資産価値と美観を保ちながら、末永く安心してロレックスを楽しみましょう。
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